済生会総研News Vol.111
済生会基本構造改革を検討する対象は、どうなるだろうか。
第1に重要なことは、本欄でも論じてきたように「済生会の理念を再確認」をすることから始まる。済生会の理念である「施薬救療」は、不変である。済生会の存在理由でもある。
その内容は、115年前と大きく異なるが、理念の重要性は、むしろ増している。例えば高齢者について言えば、さらに経済的だけでなく諸々の理由で必要な医療、介護が受けられない高齢者、認知症高齢者のように社会から孤立し、ついには孤独死になる事例など多様な問題は増加する一方だ。
第2は、事業内容と推進方策の検討である。
済生会は、時代の変化に応じて事業内容が改められ、今日では4本柱の事業を実施している。このように4本柱掲げる組織は、世界的に類例を見ないが、今日の日本社会ではますます重要になっている。
一方、推進方策については、大きな改革の必要性に迫られている。少子超高齢社会の本格化、情報社会の進展、地方自治体の人口流出などにより医療、福祉、介護の提供体制のあり方が問われている。国は、制度改正を進めている。
地域の一部では、医療、介護等の提供体制が崩壊しつつある。そのため適切なサービスが受けられない人が増加している。こんな状況の中、済生会は、医療、福祉、介護の分野において地域の中核的存在として存在として役割を果たしていかねばならない。
このためには済生会内の病院や施設等の連携の強化のほか、地域の他の病院との連携協力、自治体からの委託による指定管理による病院の経営などの方策を積極的に展開していかなければならない。
第3は、人材に係る基本構造の改革である。これはすでに昨年6月に「D&I検討会」で報告書がまとめられたので、この報告書に基づき改革を実施していくことになろう。
第4は、財務構造の改革である。経営環境は厳しくなる一方である。財務構造が強靭化しないことには済生会の発展は、覚束ない。このための具体的な方策を検討し、速やかに実行していくことが必要である。
第5は、組織構造の改革である。済生会の組織は、戦後大きな改正が行われてこなかったが、済生会の事業を効果的、経済的に果たすためには各種の新しい試みを導入する必要性が高まっている。
研究部門 済生会総研 上席研究員 原田 奈津子
2040年に向けた動き ―地域医療構想策定ガイドラインから―
2040 年に向けた動きが活発化している。地域医療構想策定ガイドラインでは、地域における人口構造の変化や高齢化率なども含め地域差の拡大に伴い、地域ごとの課題や求められる医療提供体制のあり方はそれぞれ異なっているとしている。
地域医療構想は、都道府県が、中長期的な人口構造や地域の医療ニーズの質・量の変化を見据え、良質かつ適切な医療を効率的に提供できる体制を確保するため、医療機関の自主的な報告等を踏まえ、地域の関係者との協議を行い策定するものとされている。
すべての地域および全世代の患者が、適切に医療・介護を受けながら生活し、必要に応じて入院し、日常生活に戻ることができる環境の構築を目指している。同時に、医療従事者も持続可能な働き方を確保できる医療提供体制の構築に向け、住民を含め地域の理解のもと、取り組みを進めていくとしている。
医療提供体制構築のため、人口20 万人以上を基本とし、地域の実情にあわせた構想区域を設定するとしている。都道府県及び各構想区域に設置する地域医療構想調整会議において、地域ごとの医療機関機能(急性期拠点機能、高齢者救急・地域急性期機能、在宅医療等連携機能、専門等機能)の確保や医療機関機能を踏まえた医療機関間の役割分担等について、地域の関係者による協議を実施することとなっている。
2040 年に向けた地域医療構想、第9次医療計画のスケジュールは以下を想定しているようだ。
① 地域医療構想の策定(2026~2028 年度) 人口構造の変化、医療需要の見通し、医療資源の状況等を踏まえ、地域医療構想調整会議における協議を通じて、地域の医療提供体制の方向性を整理し、地域医療構想を策定する。
② 第9次医療計画の策定(2029 年度頃) 医療需要の変化や医療提供体制の状況など、策定した地域医療構想の内容を踏まえ、具体の実行計画として、第9次医療計画を策定する。
③ 取り組みの推進 策定した地域医療構想や第9次医療計画を実行し、PDCA サイクルやロジックモデルを活用しながら、地域医療構想の内容を確認し、必要に応じて見直しを行う。
④ 成果の確保(2035 年頃) これまでの取り組みから、2040 年やその先に向けた地域の医療需要に応じた医療提供体制が確保されるよう、医療機関機能の役割分担等について、一定の成果を確保する。
2040年に向けた地域医療構想においては、入院だけでなく、外来、在宅、介護との連携などをはじめ、取り扱う議題が多岐にわたっているのが特徴である。高齢者救急や在宅医療の需要の増加がさらに見込まれる中、医療機関との協力体制の構築等の体制整備として、特に介護老人保健施設、介護医療院等が挙げられ、慢性期の医療ニーズを有する者の受け入れや高齢者の入院前や退院後を支える役割を担うことが言及されている。また、在宅医療を担う医療機関の関係者等と地域における医療と介護それぞれの資源についての課題を共有し、早期の退院や適切な受診につなげられる体制を整備することも課題として挙げられている。
2040年に向けて、それぞれの地域の現状と課題などについて把握しつつ、医療や介護、福祉なども含めた社会資源のあり方と人々の暮らしについて検討していくことが重要である。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850_00014.html
―編集後記―
先日、運転免許証の更新をしました。当日の写真撮影や視力検査、講習といった更新の流れは変わらないのですが、最大の驚きは、事前に日時の予約が必要だったことです。行きやすい更新場所で一番早く更新をと思うと私の指定された更新期間の最初の3週間は空きがなく、あわてて予約をしました。更新のお知らせのハガキに記載された番号がないと予約できないので、誕生日の前後2カ月の間にというのは結構ハードだなと思いました。ちなみに住む場所や更新場所などによって予約が必要かどうか異なるようです。(Harada)
PDFファイルをご覧になるためには Adobe Reader が必要です。
お持ちでない方は、
Adobe Readerをダウンロードしてください。