済生会総研News Vol.109

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済生会総研の視点・論点 済生会総研 所長 炭谷 茂
第108回 済生会基本構造改革論(3)~インクルーシブ社会づくりの先導者として~

 済生会は、次の4つのミッションを掲げて事業を展開している。
① 地域医療の推進
② 医療と福祉の総合的サービスの提供
③ 社会的支援を要する人に対する支援
④ ソーシャルインクルージョン(社会的包摂)の理念に基づくまちづくりの推進
 このようなミッションを掲げている団体は、他にはないが、現在の日本の状況を見ると、この4本柱は、ますます重要性を増してくる。これから進める「済生会基本構造改革」においてもこの4本柱の推進を基本となると考えている。
 ①は、病院、診療所が担っている。②は、医療機関と福祉事業者等の連携のもとに実施しているが、済生会は、両者の部門を有しているので、連携は円滑に行うことができるという有利な立場にある。③は、済生会の創設の目的である「施薬救療」の精神を引き継ぐ極めて重要なミッションといえる。
 ④は、令和5年度から始まる済生会第3期事業計画において新たに追加されたミッションである。これをミッションに掲げている団体は、多くはないが、現在の日本を含め世界を俯瞰してみると、これは、極めて大切になっている。フランス、ドイツ、イタリア、韓国などはこれを推進するための法律を整備している。イギリスは、担当大臣を置き計画的に事業を実施している。EUは、1999年に発効したアムステルダム条約に基づき加盟各国に計画を策定し、事業の実施を義務付けた。
 日本でも同様に社会から孤立する人が増加している。障害者、認知症高齢者、引きこもりの人、ニートたち、元受刑者など広い分野にわたる。これらの人たちを社会から取り残されないようにするためにソーシャルインクルージョンの理念が定着する社会づくりを目指していかねばならない。
 日本で先行して取り組む済生会の事業は、着実に成果が表れてきた。病院や福祉施設の中に留まることなく、広く地域社会に行動の範囲を拡大していきたい。
 「済生会基本構造改革」では、日本全体に広くインクルーシブ社会づくりを広めるための方策を検討することになる。

人材開発部門 看護室 室長 樋口 幸子

「これからの社会を支える医療関係職種の育成
~ナースステーションから本物のスタッフステーション・チームへ~」

 令和8年6月3日、厚生労働省は、昨年1年間に国内で生まれた日本人の子どもの数(出生数)は67万1236人と発表しました。この出生数は、15年早いペースで進んでいるということでした。人口減少や超高齢化と言われる時代でも保健・医療・福祉における医療・介護の有資格職者の必要性は高いと思っております。
 しかし、最近、看護師を志望する人が減少してきています。卒業しても病院で働く看護師数も減少しています。看護師の働き方や働いている環境等を整備し、専門に特化しない業務の効率化、周辺業務のタスクシフト・タスクシェア等、職場の改善改革が必須の状況だと感じております。このような外部環境の整備だけでなく対象になる患者・利用者等を多様な職種で進める基礎教育が遂行されるようになりました。
 「IPE/IPW InterProfessional Education/InterProfessional Work:専門職連携教育・多職種連携」です。IPE(専門職連携教育)とは、「複数の領域の専門職者が連携及びケアの質を改善するために同じ場所でともに学び、お互いで学び合いながら、お互いのことを学ぶこと」であり、IPW(多職種連携)とは「複数の領域の専門職者が各々の技術と役割をもとに、共通の目標を目指す協働のこと」と厚生労働省は定義しています。単にチーム医療やタスクシェア・タスクシフトというのではなく、職種を活かした協働での医療・ケアが遂行できるよう基礎教育の場では進められております。
 そのことを成就していく為にカリキュラムの改訂がされてきました。看護学校では、「専門職連携教育ガイドライン令和元年」等、医学生では「医学教育モデル・コア・カリキュラム 令和4年改訂」、また、看護系大学等では「看護学教育モデル・コア・カリキュラム 令和6年度改訂」というカリキュラム改訂がされました。医療系大学、学部のみならず専門学校でも医学部の学生や薬学部の学生など多様な医療系の学生と共に症例検討するようになってきました。職種別に考えるのではなく一緒に、お互いの視点の違いも学び、その中で対象者にとって「その人らしさ・尊厳」を大事にすることを見出すようになっております。基礎教育での学びは、資格取得後に多様な場において、多職種と連携し適切な保健・医療・福祉を提供するという、本当の意味での「スタッフステーション」「チーム」という場になるのではないかと考えます。

―編集後記―

 6月に入り、例年通りの梅雨となり、湿気や寒暖差に気をつけながら過ごす日々です。そんな中、カナダ・メキシコ・アメリカの3カ国で開催されるワールドカップが始まりました。7月にニューヨークで行われる決勝まで大会は続くようですが、試合開始が朝5時や朝8時など、時差を強く感じる今日この頃です。
 今大会では出場国が32カ国から48カ国に増やされ、初出場国の中に「キュラソー」という国がありました。調べてみると、キュラソーはカリブ海にある、人口約15万人で種子島ほどの大きさの島だそうです。リキュールの「キュラソー」は、同島特産のオレンジから作られたことに由来して名付けられたようです。出場チームを通してさまざまなことを知ることができるのも、国際大会の醍醐味だと感じます。 (Harada)

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