済生会総研News Vol.107

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済生会総研の視点・論点 済生会総研 所長 炭谷 茂
第106回 済生会基本構造改革論(1)~構造改革の背景~

 前回まで8回に渡り外国人問題を論じてきたが、論ずるべきテーマは、未だたくさん残されている。政治や行政で政策が次々に打ち出されている。国民の関心も大変強い。外国人の法律違反やマナー無視に対する反感から外国人の入国抑制や規制強化を求める世論は、強くなっている。
 先日、九州の格安のホテルで宿泊した際、客が自由に利用できるコーヒー自動焙煎機がロビーに置かれていたが、某国からの旅行客が、湯が尽きるまでコーヒーを作って腕いっぱいに抱えて観光バスに乗り込んだ。後ろで待たされた私は、量の多さに驚き、ヤケドをしないか心配になった。歩きながら飲酒、ごみのポイ捨てなどに接すると、私もよい気持ちにはなれない。
 一方で日本の労働市場では外国人労働者に依存しなければ、日本経済は成立しない構造になった。建設、農業、外食など多分野に及ぶ。医療や介護分野においても同様で外国人労働者が10%を占める時代は、遠くない。
 日本社会は、外国人と共生する社会づくりを急がねばならないが、効果的な政策が確立していないので、研究を続けたいが、現在、重要な課題として「済生会基本構造改革」を抱えているので、当面はこれを取り上げ、外国人問題は、後日再開したい。
☆          ☆
 まず「済生会基本構造改革」の背景について考えてみたい。前述の在日外国人の増大のようにグローバル化の進展が代表例の一つであるが、日本社会の歴史的な経済・社会構造の変化が起きている。これに対応できない組織は、消滅に追い込まれるという深刻な危機感がある。
 人類が初めて経験する少子超高齢社会の到来もある。高齢の救急患者が増大する一方で、小児科や産科の患者は、急速に減少している。特に地方では人口流出が止まらず、若年層人口が減少し、身寄りのない高齢者は増加する。しかし、国家財政や地方財政の窮迫化が進み、公的サービスは抑制せざるを得なくなっている。
 これらの傾向が年を追うごとに激しくなっていく。日本の多くの地域では、適切な医療・福祉・介護が受けられない住民が多数生じていく。これが住民の流出に拍車をかけ、ついには当該自治体の存在が危うくなる。この兆しは、すでに各地で見ることができる。

研究部門 済生会総研 研究部門

令和8年度研究計画

 先月号でお伝えした研究評価委員会にて令和8年度の研究計画が審議され承認されたが、詳細は以下の通りである。

【重点課題】
済生会が地域の医療・福祉の中核的役割を担うための済生会基本構造改革の取組みに関する研究
(新規)

《担当》山口研究部門長、原田上席研究員、藤本客員研究員に加えて、済生会病院、施設の担当者にも参画を依頼

《研究概要》 済生会病院が立地する地域(二次医療圏)ごとに、済生会病院の機能を精査し、他の医療機関、福祉施設等との関連を分析して、済生会病院が地域で中核的な役割を果たしていくための戦略を検討するためのデータを提供する。

【連携課題】(継続)
(1)法人外に向けた人材養成の効果に関する調査研究

(2)済生会薬剤師会との共同研究
・福祉施設会、薬剤師会連携研修会の開催と効果について
・高齢者施設の服薬簡素化への対応(処方の検討)
・病院に勤務する女性薬剤師の働き方・キャリアビジョンに関する意識調査

(3)済生会職員による研究への支援(科研費等の外部研究資金の獲得と事務手続きを総研として支援)

(4)済生会内外の研究者との共同研究の推進

 ご協力のほど、よろしくお願いいたします。今年度もこの総研Newsを通して、活動の進捗等を報告していきます。

―編集後記―

 4月の駅のホームや電車では、通勤時も退勤時も新年度ならではの光景を目にすることがあります。朝は真新しいスーツとシャツに大きめの黒のバッグを持った集団が和やかに電車に乗っていく様子や、サイズが大きめの制服を身にまとい緊張した様子で英単語のチェックをしている中高生を車内で見かけます。 夕方には、営業先の集まりに向かうらしき新人とベテランの組み合わせ、夜遅い時間帯になると、それなりに混んだ車内でつり革をつかんで立ったまま寝ている人をよく目にします。 それぞれの日常や暮らしが垣間見える場所だなと思います。大型連休明けには例年、混雑具合がやや緩和される傾向がありますが、今年はどうなるでしょうか。 (Harada)

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