済生会総研News Vol.105
政府は、外国人政策について「秩序ある共生社会」の実現を目標としている。この表現は、共生社会がともすれば無秩序のなると心配されるためだろうか。確かに本欄で紹介してきたように地域社会で外国人による騒音、ごみの出し方などトラブルが多い。社会保障を巡っても保険料の未納、医療費の未払い、不正受給などの問題が発生し、実務担当者を困らせ、国民の不満を抱かせる。
私は、外国人との共生社会の実現の前提として「ローマに入れればローマに従え」や「郷に入っては郷に従え」の俚諺にあるように外国人は、日本の法律、ルール、マナーを守ることが必要であると考えている。これを無視する外国人の行動を見ると、比較的他文化に理解があると思っている私でも、気分を害する。例えば交通量の激しい公道に出て写真を撮影する、新幹線の通路に大きなスーツケースを置くなどである。
このような行為は、どうして起きるのだろうか。自国でもそのような行為をしているのだろうか。この点参考になるのは、40~50年前ほどに盛んに行われた日本人の団体海外旅行がある。当時イギリスで生活していた私は、頻繁にロンドン、パリ、ローマなどの観光地で日本人の一行に出会ったが、彼らの行動は、現地の人からは顰蹙を買っていた。海外での高揚感や旅行地の情報不足などである。
外国人に日本の法律、ルール、マナーを理解してもらうためにどのようにすべきだろうか。旅行客には事前にネットやガイドブックで情報を入手することが必要で、日本の関係当局や旅行会社のその面の取組みが求められる。
この点でモデルケースになるのは、日本に滞在する外国人の子どもたちである。自ずと幼稚園や学校で日本の習慣を学んでいく。最近は外国人の子どもが在園する幼稚園は、珍しくない。子どもは、差別や偏見の考えは持っていない。子どもは、分け隔てなく遊び、語り合う。外国人の子どもは、これを通して日本の習慣、ルール、マナーを学んでいく。
偏見を持つのは、大人の方である。保護者は、子どもを通して学ぶことが多いのだろう。相互の交流も子どもを通して始まる。幼稚園や学校が共生社会づくりの大きな力になる。
外国人が人口の2割を占める群馬県大泉町では令和6年に生まれた赤ちゃんのうち、28.9%が外国人であった。これらの子どもが保育所、幼稚園、小学校で過ごすにつれ、日本の習慣等を学んでいけば、同町がどのように共生社会が形成されていくのか注目される。
人材開発部門 済生会総研 上席研究員 原田 奈津子
第78回済生会学会での活動報告
2月15日に開催された第78回済生会学会において済生会保健・医療・福祉総合研究所として一般演題(口演発表)が行われた。
座長の松原了済生会総研所長代理から本プログラムの趣旨説明が行われた後、各研究員による報告がなされた。
まず、山口直人研究部門長より、「済生会病院の過去10年間における入院患者の推移と今後への示唆」というタイトルのもと、データに基づく報告が行われた。コロナ後において、救急車搬送入院患者の受け入れはますます重要となり、経営的な貢献も大きいことや、救急車搬送入院患者では、平均在院日数が長く、また、退院後1~4年に再び済生会病院を選択する再帰入院率は低い傾向があり、それらへの対策も重要となるという内容であった。
次に、植松和子客員研究員から、「高齢者薬物療法の適正化―済生会における福祉施設会と薬剤師会の服薬等に関する連携―」として、福祉施設で薬について困っていることとして、嚥下力低下で錠剤を粉砕する際、粉砕可否の情報がないなどの課題が挙げられた。服薬におけるリスクなど情報共有をふまえた対応の必要性が示された。
三番目の報告者として、産業医科大学産業保健データサイエンスセンター学内講師で総研の客員研究員でもある藤本賢治氏より、医療と介護をつなぐデータ連携―レセプト情報と地域統計を活用して」というタイトルのもと、施設の分析負荷軽減に向けた検討案と共に、介護レセプト・LIFEデータ収集・分析基盤構築の説明を行った。
最期に、筆者より、「福祉施設での看取りにおける医療と福祉の連携」として、これまでのインタビュー調査などを軸に報告を行った。
非常に幅広い研究テーマのもと、報告が行われたが、いずれもよりよい実践や取り組みにつながるようにとすすめられていることが共通項であると感じた。
調査やデータ収集等、ご協力くださった方々に心から感謝を申し上げます。今後とも何卒よろしくお願いいたします。
―編集後記―
済生会学会・総会に参加するため、滋賀県を訪れました。研究成果の報告だけでなく、支部・施設の方々にお目にかかれることも貴重な機会となります。皆様、ありがとうございます。
また、学会運営事務局の済生会滋賀県病院のスタッフの皆様、最後まで丁寧でテキパキとした運営に感謝申し上げます。
写真は貴重な集まりをとらえたものです。最近、ご当地のスターが登場してくれる時間帯があり、昨年のみきゃんとダークみきゃんに続き、貴重な遭遇となりました。心が癒されました。ありがとうございます。(Harada)
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