済生会総研News Vol.01

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ご挨拶 済生会総研 所長 (社会福祉法人 恩賜財団 済生会理事長) 炭谷 茂

 済生会総研は、2月25日に発足し、4カ月が経過しました。これまで研究所の体制基盤の整備に重点を置いてきましたが、いよいよ本格的に事業を展開していきます。
 済生会総研の研究事業は、国立研究所や大学での研究と異なり、済生会の病院や施設等に直接的に役に立つ実用的実務的な研究を主たる目的にしています。企業が商品開発を行うための研究所に類似しています。研究対象は、済生会の支部、病院、福祉施設等で勤務する人たちが、日々の仕事で直面する課題を優先的に取り上げていきます。済生会の職員の方々が研究テーマについて積極的な提案をしていただきと思います。
 課題のほとんどは、喫緊のものばかりでしょうから、何よりもスピード感を持って研究成果をまとめていきます。このためには済生会職員の方々が研究に参画していただき、済生会の総力を投入することが不可欠です。
 日本は、歴史上経験したことのない人手不足時代に入りました。医療、福祉とも質の向上が強く求められています。人材開発事業が済生会の経営の成否を決めます。
 このため済生会総研の人材開発事業では、従来から実施されてきた研修体制を根本から見直してレベルアップを図り、充実させてまいります。昨年制定しました済生会人像を具現化できる研修にも努めてまいります。
 済生会総研の担う任務は、大変大きいですが、今後とも済生会の職員の方々の格段のご支援ご協力をお願いします。

研究部門

1. 済生会各支部・施設における研究テーマ調査報告

 研究テーマ調査(平成29年4月中旬)の結果、19支部39施設からDPC等医療関係(30件)、生活困窮者支援(17件)、地域包括ケア(18件)、その他(36件)の計101件の意見が下記の集計の通り集まりました。すでに取り上げていた研究課題に加え、今回の調査から新たに取り組める課題として、福祉部門では「児童を取り巻く福祉の諸問題」、医療部門では「中小病院におけるDPC分析」を今後研究テーマとして取り上げていくことを検討しています。調査結果の集計についての詳細は後日支部あてに通知いたします。

研究テーマ 件数
DPC(DPC等医療関係) 30
なでしこプラン(生活困窮者支援) 17
医療と福祉の連携(地域包括ケア) 18
その他 36

2. 研究の課題

今回は、上記(2)②「生活困窮者の就労支援における現状と課題 ―刑余者支援に関する済生会モデルの構築と展開―」の研究について報告いたします(上席研究員 原田奈津子)。

(1)DPC

  • ① 「DPCデータの利活用のための分析手法の普及」
  • ② 「済生会の病院のDPC機能評価係数Ⅱの現状分析と経営の影響」

(2)なでしこプラン

  • ① 「なでしこプランの展開と課題 ―地域の特性に応じた各地の取り組みから―」
  • ② 「生活困窮者の就労支援における現状と課題 ―刑余者支援に関する済生会モデルの構築と展開―」

(3)医療と福祉の連携(地域包括ケア)

  • ① 「済生会独自の地域包括ケアモデルの確立に向けて ―地域での暮らしを支えるためのまちづくり―」
  • ② 「済生会の医療福祉センターが地域包括ケアシステムに与える影響」

(4)その他

  • ① 「済生会DCATの取り組みにおける現状と課題 ―組織化と派遣職員へのサポート―」

 済生会総研において、すでに取り組み始めた研究課題は上記の通りです。この他に、看護部門に関しても研究テーマを検討中です。
 現在、済生会総研の研究員が主体となって研究をすすめていますが、年内中には、各施設からも研究員を募って研究に参画していただきたいと考えております。

3. その他の活動

 研究以外に施設の要請を受けて、講演や計画策定及び研修会開催等の支援を行っています。

(1)福祉部門

  • ① 若草病院および若草エリアにおける地域包括ケア計画策定の支援、助言
  • ② 関東MSW研究会での講演(6月23日 川口総合病院)

(2)医療部門

  • ① DPC準備病院のDPC移行後の経営改善のための支援、助言
  • ② 施設が行う経営管理情報システム操作のための研修会支援(5月26日 野江病院)

3. その他の活動

  • 部 門 長 山口 直人 (東京女子医科大学教授)
  • 上席研究員 持田 勇治 (済生会横浜市東部病院より出向) 医療部門
  • 上席研究員 原田 奈津子(元長崎国際大学准教授) 福祉部門
  • 研 究 員 八谷 弘文 (横浜市菅田地域ケアプラザより出向) 福祉部門
 

人材開発部門

1. 職種別ワーキンググループでの協議事項

 医師、看護師、事務の3職種のワーキンググループ(以下、WG)を立ち上げ、7月に第1回を開催し、済生会総研が行う研修を年内に取りまとめる予定です。

(1)医師WG

  • ① 法人全体または各施設における医師人材開発の共通課題の把握
  • ② 済生会総研が優先して実施すべき医師人材開発の提案(例:次世代指導者研修の在り方について 平成29年度は「済生会全国次世代指導者研修会」を開催)

(2)看護WG

  • ① 済生会人像と本部研修内容との整合性
  • ② 済生会人像と「済生会看護理念」「基本方針」「看護教育理念」に記載されている内容との整合性
  • ③ 済生会看護の質向上済生会看護のブランドを確立するために平成28年度に改訂した「済生会看護理念」「基本方針」「看護教育理念」の活用状況
  • ④ 施設等で行われている人材育成の実態

(3)事務WG

  • ① 法人全体または各施設における事務人材開発の共通課題の把握
  • ② 人材開発の役割分担(済生会総研、事務部長会、各施設等が実施している研修の役割分担)
  • ③ 済生会総研が優先して実施すべき事務人材開発の提案

済生会総研から

 済生会総研として、本格的に動き出し、今回、初のレポートを出すこととなりました。
 先の研究テーマ調査へのご協力誠にありがとうございます。皆様から寄せられましたテーマや要望を研究員一同、じっくり読ませていただきました。しっかりと今後の研究に取り入れていきたいと思います。
 済生会総研では積極的に現場と連携し、さまざまな課題について研究を進めていこうとしています。研究成果をぜひ現場へフィードバックしたいと思っておりますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

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