済生会保健・医療・福祉総合研究所
済生会保健・医療・福祉総合研究所

次の100年へ、先人の想いをつなぐ
一人ひとりの幸せを守るために

済生会は「社会の最終ライン」を守るという気概を持って、3つの基本的使命(生活困窮者への支援、地域医療への貢献、総合的な医療と福祉サービスの提供)を遂行していきます。

済生会は、明治天皇による「済生勅語」によって設立され、「施薬救療の精神」に基づく生活困窮者の救済を使命としています。生活困窮者を救済するための社会保障制度が整う今日においても、現実的には、救済しきれない新たな複雑化した問題を抱える生活困窮者は存在しており、更にはその存在自体が埋もれている生活困窮者も存在しています。
そのような環境下においてこそ、本会は3つの基本的使命を、時代の変化を踏まえながら的確に果たし続けていく必要があります。しかしながら使命を果たすためには、経営基盤を安定させる必要があり、両者を両立させるための研究と両者の両立を支える人材の確保・育成が急務となっているのです。

済生会総研News Vol.22

済生会総研の視点・論点 済生会総研 所長 炭谷 茂
第21回 ソーシャルエコノミー論を深める

 現代は、国を越えて活動するガリバー企業が世界経済を支配している。GAFAと言う4大企業が、世界のあるゆる個人情報を集積し、ビジネス拡大に利用している。ガリバー企業による経済活動の弊害が、指摘されている。
 プライバシーが侵害され、自分が気が付かないままに企業によって操作されていると恐怖感を感じるのは、私だけだろうか。各国が、GAFAに対する規制に乗り出したことは、当然だろう。
 法規制は、有効な対策であるが、企業と対抗するセクターの強化も必要である。企業との対抗関係に位置する強力な主体は、国、自治体という「公」である。
「公」は、強力な手段だが、副作用がある。濫用されると人権侵害となる。非効率的で生産性が低い。拡大すると、税負担が増大するなどの問題をはらむ。
 そこで「ソーシャルエコノミー」に注目しなければならない。
 ソーシャルエコノミーの定義は、時代や国によって変化があるが、代表的なものとしては、EUの定義を挙げておく。
  参加的な経営システムを備えた協同組合、相互共済組合、社団、財団など社会的な目的を追求するための経済的な活動
 ソーシャルエコノミーは、利潤を上げることではなく、社会的な価値を最終目的にする。
 企業と市場で競争をする。経営方針の決定は、自律的・民主的な方法が取られる。企業の対抗・牽制勢力となり、企業が、行えない分野の補完をする。
 ソーシャルエコノミーの普及は、国によって相当に異なっている。
 歴史的にヨーロッパで活発である。近世にはすでに教会、慈善団体、職人組合などが活動をし、互助的な機能や困窮者援助を行っていた。近代に入って労働組合、協同組合が誕生した。
 私が推進しているソーシャルファームもこの領域に該当する。企業や「公」だけでは不十分な社会的弱者のための就労の場づくりである。必要性が高いので、設置数が増えている。
 医療や福祉の分野の大半は、日本では「公」やソーシャルエコノミーの主体でなされてきた。一方アメリカでは企業が大きな比重を占め、日本に進出している。政治家や経済学者には、アメリカにならって企業の活用を拡大すべきだという主張が強い。
 これはソーシャルエコノミーの主体は、非効率などの面も有するからだろう。
 しかし、私は、現代の巨大企業の行動をみると、社会や住民の福祉の確保・向上のためには、一層ソーシャルエコノミーの重要性が増していると確信するようになっている。企業に依存が過ぎると、国民に被害を生じる。ソーシャルエコノミーの代表格である済生会は、行動と実績でソーシャルエコノミーの価値を証明していきたい。

研究部門 済生会総研 部門長 山口 直人

平成31年度の研究実施計画について

●はじめに
 平成31年1月30日に第2回研究評価委員会が開催され、済生会総研の研究活動について評価を受けると共に、平成31年度の研究実施計画に対する御意見をいただきました。そこで、今回は研究計画を説明します。

●テーマ別研究課題
 テーマ別の研究課題は8課題の継続研究を設定しました。課題名一覧を表1に示します。

表1 テーマ別研究課題

課題番号分野課題名
テーマ1医療DPCデータの利活用を目指した効果的な分析手法の開発と展開
テーマ2医療済生会の病院のDPC 機能評価係数Ⅱの現状とその課題
テーマ3医療DPCデータを使用した地域包括ケア入院料運用への取り組み
テーマ4医療・福祉医療・福祉の質指標の整備と分析評価、活用に関する研究
テーマ5福祉なでしこプランの展開と課題
―地域の特性に応じた各地の取り組みから―
テーマ6福祉済生会独自の地域包括ケアモデルの確立に向けて
―地域での暮らしを支えるためのまちづくり―
テーマ7福祉済生会DCATの取り組みにおける現状と課題
―組織化と派遣職員へのサポート―
テーマ8福祉障害児・者入所施設における入退所の実態と今後の展開
  • (1)医療分野(テーマ1~3)
     テーマ1「DPCデータの利活用を目指した効果的な分析手法の開発と展開」

     平成30年度は、『診療サービスの向上』の達成・『収益改善に向けた対応策の策定』の契機を目的に診療サービスの指標(12指標)(平成28年度実績)を作成して、済生会内で公表をしました。平成31年度は、診療サービスの指標(12指標)(平成29年度実績)を完成させるとともに、診療サービスの指標の結果や各病院でのヒアリングから改善策を策定します。また本改善策は、各施設の共有の情報として、さらなる改善を目指します。

  •  テーマ2「済生会の病院のDPC 機能評価係数Ⅱの現状とその課題」

     平成30年度は、平成30年度DPC機能評価係数Ⅱ(効率性・複雑性・カバー率・救急医療)の「指数」と「係数」の算定プロセスについてのとりまとめをしました。また、データ分析ができる人材の育成活動として、平成31年2月に「DPCデータを使用した分析手法のワークショップ(入門編)」を開催しました。33名の参加があり、DPCデータの説明、データ分析や改善するためをテーマとしたグループワークを行いました。平成31年度は、DPCデータの分析をさらに深めるともに、分析できる人材育成を進めていきます。

  •  テーマ3「DPCデータを使用した地域包括ケア入院料運用への取り組み」

     DPCデータ分析により地域包括ケア入院料の導入・運用に関する研究を行います。平成31年度から具体的な活動となります。地域包括ケア入院料に移行することによる経済的なメリットや、地域における貢献の評価方法等について、DPCデータを使用して有効な運用方法についての研究を進め、適宜、これらの結果の各施設へ向けてのフィードバックを行っていきます。

  • (2)医療・福祉分野(テーマ4)
     テーマ4「医療・福祉の質指標の整備と分析評価、活用に関する研究」

     医療・福祉の質指標の公開事業は、本部事業推進課が実施しており、済生会総研は、指標の見直し、新規の質指標の開発、収集した指標の詳細な分析等を行っています。現在、済生会臨床指標ガイドライン(仮称)を作成中であり、指標の算出方法などの周知を図り、各施設での指標の活用を推進します。また、介護施設における介護サービス利用者の個人別データを収集・分析して、「済生会介護データベース(仮称)」を構築し、介護サービスの質指標の作成を進めていきます。

  • (3)福祉分野(テーマ5~8)
     テーマ5「なでしこプランの展開と課題―地域の特性に応じた各地の取り組みから―」

     平成30年度までは、刑務所出所者への就労支援の取り組みという実践を軸に、ミクロな面でのなでしこプランの取り組みに着目して研究をすすめてきました。平成31年度からは、なでしこプランの評価と検証を行うマクロ的視点からの研究をすすめていきます。地域の特性やニーズに基づいた取り組みについて、評価できる仕組みを構築していきます。

  •  テーマ6「済生会独自の地域包括ケアモデルの確立に向けて―地域での暮らしを支えるためのまちづくり―」

     平成30年度では、済生会病院に勤務しているMSW(医療ソーシャルワーカー)に調査を実施し、「医療と福祉の一体的提供」や「地域やボランティアとの連携」などの課題が明らかになりました。平成31年度は、介護老人福祉施設に勤務する生活相談員を軸に、福祉施設職員を対象とした調査を実施する予定です。関係する職種の参加による研究ミーティングも必要に応じて行っていきます。

  •  テーマ7「済生会DCATの取り組みにおける現状と課題―組織化と派遣職員へのサポート―」

     済生会DCAT(Disaster Care Assistance Team:災害派遣福祉チーム)の組織化の過程や取り組みについて、検証をします。研究協力者(現場職員)参画による研究ミーティングを行い、DCAT活動参画職員、職員の派遣元施設、受け入れ施設に対して平成31年度に調査を実施する計画を立てています。

  •  テーマ8「障害児・者入所施設における入退所の実態と今後の展開」

     平成30年度から障害者入所施設の職員を対象に調査を実施するなどしてスタートした研究ですが、平成31年度では、障害児も対象にし、医療型/福祉型障害児入所施設も含めた障害児者の入退所に関する研究をすすめていきます。必要に応じて研究ミーティングを実施します。

  • ●おわりに

     済生会総研は、実践的な研究を目指し、保健、医療、福祉を担う済生会施設の活動の支援を目指していきます。済生会内外の施設との研究ネットワークを構築して共同研究を推進しますので、引き続き済生会総研へのご支援をよろしくお願いします。

人材開発部門

平成30年度MSW・生活困窮者支援事業研修会

 平成30年度MSW・生活困窮者支援事業研修会を3月12~13日に開催し、本会病院のMSWを中心に72名が参加しました。
 炭谷理事長が「済生会におけるMSW事業の理論と技法」と題して講演し、「済生会のMSWが日本のMSWをリードしてほしい」と強い期待を述べました。続いて、香川県済生会病院の梶久美子氏、福岡総合病院の今井俊介氏、静岡済生会総合病院の岩﨑圭介氏から、各施設の無料低額診療事業の実践状況が報告されました。

 2日目は、中央共同募金会・渋谷篤男常務理事が「社会的孤立の解消に向けて」と題して講演され、制度外の支援の重要性や、地域福祉の視点を学ぶことができました。
 講演後のグループワークでは、「無料低額診療事業と済生会のMSW実践を通じた社会的孤立の解消に向けて」をテーマに話し合い、1日目の実践状況報告と併せ岩﨑氏がコーディネーターを務められました。
 参加者からは「ニーズの背景に孤立と排除があることを改めて感じた」「日本社会の最終ラインを守る覚悟をもって業務にあたりたい」などの決意が述べられました。
 情報交換会では、障害者就労継続支援事業を行う熊本済生会ほほえみ「パン工房ふわり」のパウンドケーキや、愛媛・松山ワークステーション「なでしこ」のクッキーなどが用意され、参加者同士、交流を図ることができました。

済生会総研から ―編集後記―

 済生会総研が発足して2年が経過しました。済生会の支部・施設をはじめとした多くの方々のご協力のもと、研究がすすめられています。これからますます、研究の成果を現場の皆様にフィードバックし、さらによりよい実践につながるよう、研究に取り組んでいきます。

済生会総研News vol.21はこちらから

済生会総研の視点・論点 済生会総研 所長 炭谷 茂
第20回 骨髄移植に係る倫理

 競泳女子の池江璃花子選手が血液がん「白血病」であることを公表してから、その治療法として骨髄移植に社会的な関心が急激に高まっている。若者を中心に骨髄バンクの新規登録者が増加していると伝えられる。
 これまで多数の人が骨髄バンクに登録し、実際に骨髄液の提供をしている。これは崇高な奉仕精神の表れである。近年人への思いやりの精神が希薄になり、自己中心主義が社会に万延しているが、このような人たちの行為を見ると、日本人の優れた一面が窺える。
 日本の骨髄バンクは、平成3年に発足した。その設立に携わったが、忘れられない思い出がある。
 当時から骨髄バンクは、すでに外国では広く設置され、白血病や再生不良性貧血の治療に不可欠な存在になっていた。日本でも早急な設立について、長い間、医療関係者や患者などから要望されていた。しかし、執行体制の整備、財源の確保、倫理問題の対応など困難な課題があったので、役所の悪習か、ずるずると先延ばしにされていた。
 そのような状況のなか担当局長に就任したA氏は、迅速な設立に強い意欲を示された。「万難を排して絶対に実現するのだ」と決意を述べ、部下を叱咤激励する姿は、鬼気迫るものがあった。直属の課長だった私は、温厚で定評のあるA局長からは、想像できなかった。
 関係各省や医療団体との折衝、事業を担当する団体づくりのための利害関係者の説得、多額の寄付金集めなどに自ら行動し、一つひとつ着実に解決された。そのころすでに重篤の病気を患わっていたので、体に相当の負担がかかっただろう。私は、本人の闘病経験から患者のために、一刻も早い骨髄バンクの設立を痛感したのではと想像している。A局長の獅子奮迅の努力によって骨髄バンクが発足した。
 私は、骨髄バンクの運営に伴う倫理面を担当した。提供者への十分な説明と納得、提供者の自由意志の保障、提供の無報酬性、提供者名の秘匿、移植者の公正な選定などが論点だった。いずれも重要なテーマで制度と運営の両面で確保されなければならなかった。これが確実に担保されないと、骨髄移植は、かっての心臓移植の二の舞になり、日本社会で普及しないおそれがあった。
 設立から27年の年月が経ち、多くの命を救ってきたが、倫理面では特に大きな問題が生じていないことをうれしく思う。
 一般に医療において倫理面の問題が多く存在する。インフォームドコンセントから臓器移植、終末期医療まで枚挙に暇いとまがない。これらの問題に正面から向かい合い、考えていかなければならない。医療に係る倫理は、医療関係者とともに国民のコンセンサスの形成が何よりも求められる。

研究部門 済生会総研 研究員 吉田 護昭

第71回 済生会学会「済生会保健・医療・福祉総合研究所による活動報告」

 2月24日(日)第71回済生会学会において「済生会保健・医療・福祉総合研究所による活動報告」(座長:原澤茂埼玉県支部長、川口総合病院名誉院長(兼)川口医療福祉センター総長、済生会保健・医療・福祉総合研究所研究評価委員)を行った。

 発表者は、山口直人研究部門長、持田勇治上席研究員、藤本賢治客員研究員(産業医科大学)、原田奈津子上席研究員、吉田護昭研究員、篠原栄二上席客員研究員(山口地域ケアセンター)の6名。
 まず、松原了所長代理より、済生会総研の活動概要の説明を 行った。
 次に、医療分野については、山口研究部門長から「済生会病 院医師の働き方の現状と今後の在り方に関する研究」についての調査結果を、持田上席研究員から「医療分野の進捗状況の報告」として、客員研究員とチームで行っている2つの研究並びにDPCデータを使用した分析手法のワークショップについての活動報告を行った。また、藤本客員研究員から「医療の質の評価・公表推進事業における臨床評価指標の実施報告と今後の展望」について、医療情報に加え、介護情報に関する指標(一部紹介)の情報が提供された。
 次に、福祉分野では、原田上席研究員から「なでしこプラン・刑務所出者支援」、「地域包括ケア・MSWの調査」、「済生会DCAT」についての研究の進捗状況と研究結果を、吉田研究員から「障害者入所施設職員における連携の実態に関する研究―済生会独自の障害者入所施設のあり方を目指して―」についての調査結果の報告を行った。
 篠原上席客員研究員は「社会福祉法人として取組む刑余者支援~居住支援活動の実践報告から~」として、山口地域ケアセンターで行っている自立準備ホームの実践について報告を行った。
 各研究員の発表後は、フロアから質疑応答も含め活発な意見交換の場となった。
 今回の活動報告や研究成果を積極的に済生会内外に発信していくとともに、今後も現場に身近な研究を続け、実践化できるような研究をすすめることとしたい。

 日頃から済生会総研の研究にご協力してくださっている方々、学会における活動報告にご参加くださった皆様、また、学会の場を提供くださった学会運営事務局の富山病院スタッフの皆様に感謝いたします。

第71回 済生会学会「福祉施設長会議(障害者施設分科会)」

 第71回済生会学会「福祉施設長会議」が2月23日に富山市の富山県民会館で行われた。
 まず、全体会議が行われ、老人保健施設分科会、老人福祉施設分科会、障害者施設分科会、訪問看護ステーション分科会の順で概況報告があった。その後、各会場に分かれ、分科会が行われた。

 今回、私(吉田研究員)は障害者施設分科会に参加をさせて頂き「済生会の障害者支援施設における調査研究からみえてきたもの」と題して、研究報告を行った。その後、出席者から、施設や事業所の現状報告や課題についての報告がなされた。
 報告では、入所者や利用者の高齢化、重度化、医療的ケアの必要な人が増加傾向にある施設や事業所が多くあった。
 また、障害児においては人工呼吸器管理などの高度な医療的ケアを要する超重症児の増加も見受けられるとの報告があった。そうした状況の中で、「済生会病院との連携」、「近隣の医療機関との連携」、「地域との連携」、「地域移行の推進」などに関する課題が挙げられた。そのような様々な課題に対して、各地域における様々な社会資源との連携やネットワーク構築も重要としているが、済生会の同事業種による横のつながりをもつことがより重要かつ効果的であるとの意見があった。具体例として、今年度設立された「済生会障がい就労支援協議会」である。現在までに2回の活動を実施しており、本分科会に出席された方からは「同じ法人なので困った時にすぐに相談できて本当によかった」、「いろんなことが勉強になる」、「協議会が設立されて本当に救われた」などの意見があり、非常にいい効果をもたらしている。その他にも医療型障害児入所施設(重症心身障害児施設)では、毎年、医学・共同福祉研究に取り組んでいることも報告された。
 本分科会に参加をしてみて、各施設の職員が現場での課題を抱えながらも当事者の主体的な生活のあり方や生き方に寄り添っていくために、熱い想いをもって日々の支援を展開されていることが印象的だった。

 今回、障害者施設分科会において、私の研究報告の場、時間を提供くださった皆様に感謝いたします。また、本分会の参加を通して、皆様からの貴重なご意見等を聞くことができたことは、今後の研究につながる材料となり、改めて感謝いたします。

人材開発部門

第42回全国済生会臨床研修指導医のためのワークショップ(SWS)

第42回SWSを2月2~3日に大阪市の「セミナーハウス クロス・ウェーブ梅田」で開催し、本会病院の医師32人が参加しました。平成18年2月に〈埼玉〉川口総合病院で第1回を開催して以来、これまでの修了者は1249人に達しています。

 このWSは厚生労働省の認定を受けており、修了者が取得する「臨床研修指導医」の資格は所属施設が変わっても生涯有効となり、内容は臨床研修の目標・方略・評価といった計画立案がメインで、コーチングやリーダーシップなど後輩指導に役立つスキルも習得できます。16時間以上の講習義務が課せられていますが、本会では診療への影響を最小限に抑えて参加できるよう土・日の2日間で実施しています。さらに限られた時間内で研修に集中できるよう、同じ済生会の医師がタスクフォースを務め、伴走しながら参加者を導いていくのも特徴の一つです。
 開催責任者の松原了本部理事は修了式で「開会式に比べて参加者の皆さんの目の色が変わった。良い研修医を育て働きがいのある病院をつくることは済生会ブランドの形成にもつながる。今回学んだことを臨床指導に役立ててほしい」と参加者をねぎらいました。参加者は「すごく疲れたが、中身の濃い充実した研修だった。教わった指導法を明日から生かしたい」と話しました。
 WSは本会の臨床研修病院が持ち回りで事務局を担当し、例年2回実施していますが、今年度は定員を超える参加申し込みがあったため、済生会本部が担当して急きょ3回目を開催したもので、山口総合病院、〈愛媛〉松山病院、〈福岡〉二日市病院から事務スタッフが応援にかけつけていただきました。
 次回は6月22~23日に同会場で〈福岡〉二日市病院が担当して開催する予定です。

アドバンス・マネジメント研修Ⅲ

 次世代の看護管理者の役割を担う中堅看護師を対象とした「アドバンス・マネジメント研修Ⅲ」を本部で2回開催し、1月21~23日、2月12~14日合わせて158人が参加しました。
 プログラムは2回とも同様で三部構成で、第一部は炭谷茂理事長から「看護に関する済生会原論―済生会人として知っておいてほしいこと―」と題し、日本と世界の社会情勢と医療・福祉をとりまく環境を解説、済生会の歴史とこれからの「済生会人」としての役割を訴えられました。
 第二部は関東学院大学大学院看護学研究科委員長の金井Pak雅子教授の講義「より輝ける看護師を目指して」と題して、看護ケアにおけるコミュニケーションの重要性について、「お互いに正しい理解に基づき、共感できるように伝えることが大切。看護師として自分自身のキャリア、今後何を目指したいのか考えてほしい」と話されました。

 第三部は高輪心理臨床研究所主宰・岸良範氏による「人間関係とリーダーシップ―互いに育てあう職場を目指して―」と題する講義とグループワークを行いました。岸氏は「人間関係を豊かにするためには、相手に敬意を表して、話を『聴く』ことが大切。相手には完璧を求めず、出来ないことがあっても認めることで信頼関係が生まれる」と力説されました。
 グループワークでは、「豊かに働くために/後輩たちとの関係・上司との関係~その時のコミュニケーションについて考えてみよう」をテーマに討議を行い、参加者から「後輩に自ら声かけをし、どこまで出来ているのかを具体的に説明する」「自分自身の言動をフィードバックしていく」「後輩に対してだけでなく、上司にも聴く・話す姿勢を持ちたい」という意見がありました。
 岸氏は最後に、「反対意見は決してマイナスにはならない。組織の新たな価値観、多くの知恵となり、良好な人間関係のある組織へとつながる」とし、「話を聴くポイントは、心を傾けて聴く。相手の気持ちや考えを『教えてもらう』という姿勢で聴くことが大切」と参加者にアドバイスいただきました。

平成30年度済生会初期研修医のための合同セミナー

 2月23日(土)富山市国際会議場において初期研修医のための合同セミナーを開催しました。当セミナーは、本会の臨床研修指定病院で研修する1年目の研修医全員を対象とし、総会・学会に合わせて開催することで本会の規模を実感し、帰属意識を高めていただくことを目的としています。また、研修責任者(指導医等)にも出席いただき、他院の初期研修医・指導医との交流も深めています。参加者数は34病院から初期研修医236名、指導医35名に上りました。
 このセミナーは、企画責任者に中川晋 医師臨床研修専門小委員会委員(中央病院 副院長)、進行役に塩出純二 同委員(岡山済生会総合病院 院長代理)、小西靖彦 同委員(京都大学 臨床研教育門長)、高畠靖志 福井県済生会病院 脳神経外科部長をはじめ、富山病院のスタッフの方々のご協力をいただきました。

  セミナーは、本部松原理事の開会挨拶、高木誠 医師臨床研修専門小委員会委員長(中央病院 院長)の講演「済生会の理念と医師臨床研修」の後、近年課題となっている「医師の働き方改革」をテーマに基調講演とグループワークを行いました。
 基調講演は、山口直人 済生会保健・医療・福祉総合研究所研究部門長より「済生会医師の働き方の実態と今後の在り方に関する研究」について発表いただきました。グループワークでは、医師の働き方改革に対する各グループの意見をまとめ、発表を行いました。随所にアンサーパッドと呼ばれる集計機器を活用して初期研修医の反応をリアルタイムで示し、盛り上がりを見せました。
 また、レジデント企画「当院の研修の魅力はこれだ!」と題して、参加各病院から自院の研修の魅力ある点についてスライド発表とアピールを行い、指導医の投票により表彰を行いました。優勝は今治病院、準優勝に熊本病院、3位に前橋病院が選ばれ、賞状と記念品が贈られました。

平成30年度臨床研修管理担当者研修会

 「初期研修医のための合同セミナー」に先立ち、臨床研修管理担当者研修会を開催しました。当研修会は、これまで本部にて開催していましたが、出席者が合同セミナーに指導医として参加することから、医師臨床研修専門小委員会において同日開催とされたものです。企画責任者に塩出純二 医師臨床研修専門小委員会委員(岡山済生会総合病院 院長代理)、進行役に泉 学 同委員(宇都宮病院 総合診療科主任診療科長)のご協力をいただいています。
 講演は、聖路加国際病院 福井次矢 院長より「医師臨床研修制度はどのように変わるのか」と題して、座長を務めておられる「医師臨床研修制度の到達目標・評価の在り方に関するワーキンググループ」の状況について、済生会陸前高田診療所 伊東紘一 所長からは「済生会陸前高田診療所における初期臨床研修」と題して、本会の臨床研修交流事業で研修医を受け入れている状況について説明いただきました。次に、岡山済生会総合病院 藤岡真一 診療部長及び宇都宮病院 垣内大樹 救急科医員から事例発表に続き、全体で意見交換を行いました。

済生会総研から ―編集後記―

  これまでに済生会学会総会には4回参加をしました。1回目は第58回(平成17年度)の学会において一般演題で発表しました。2回目は平成25年度総会で永年勤続10年表彰を受けました。3回目は昨年度、総研に入職しての参加となりました。参加をするたびに、済生会組織の規模の大きさを実感し、済生会人として身の引き締まる思いになります。
 今回の学会(富山)参加を通じて、済生会総研として、現場に身近でかつ即実践化できる研究をしていくことが求められていると改めて実感するとともに、非常に大きな責任も感じました。
 引き続き、現場の皆様と共に研究をすすめていきたいと思いますので、ご協力の程、よろしくお願い申し上げます。

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